下顎前突・叢生を含む症例
下顎を意図して時計方向に回転させて治療した症例
患者情報
- 診断症例
- 下突咬合(下顎前突)・叢生
- 初診時年齢
- 35歳8ヶ月
- 治療開始時年齢
- 35歳10ヶ月
- 動的治療期間
- 2年9ヶ月
- 主訴
- 顎が出ている
治療前と治療後の比較
顔貌(治療前)
顔貌(治療後)
こちらは外科手術を行わずに下突前突(下顎前突)の治療を行った症例です。
患者さんは専業主婦で入院できない環境の為、外科手術は希望されず矯正単独での治療を希望されました。
顎間ゴムを使用して上顎を前に出し、同時に下顎の歯の傾きを後ろに下げることで口元が下がっています。
動的治療後の口腔内写真では上顎の前歯は少し唇側に曲がっていますが、上顎が下顎よりも前に出て、咬み合せが改善されたことがわかります。
口腔内(治療前)
口腔内(治療後)
模型(治療前)
模型(治療後)
治療方針
上顎の左右第二小臼歯、下顎の右側第一小臼歯、下顎の左右側第二大臼歯を抜歯して治療を行いました。
顎間ゴムの3級ゴムを使用することで上顎の奥歯を前に動かすと同時に、下顎の前歯を後ろに下げています。下顎の奥歯は傾いていた歯を直立させることで歯冠の位置を数ミリ後ろに下げています。
咬み合う面を反時計回りに回転、下顎は意図的に時計回りに回転させることで著しい下顎前突を外科手術を行わずに改善しました。動的治療は2年9ヵ月です。
保定(動的治療終了後 1年6か月)
治療後の咬み合せの状態を維持しています。下顎の右側の犬歯にスペースができていますが、患者さんは今のところ再治療を希望していないため経過観察を続けています。
初診時(35歳8ヶ月)
セファロ・パノラマ
治療経過
上下顎にマルチブラケット装置を装着。
3ヶ月後に下顎第三大臼歯にバンド装着。オーバーレイ(0.016インチ(0.40ミリ)×0.022インチ(0.55ミリ)TMA wire)にてレベリング開始。
4ヶ月後上下顎に0.016インチ(0.40ミリ)round SS wire セット。下顎左側第二小臼歯と第三大臼歯、下顎右側第一大臼歯と第三歳臼歯間にパワーチェーンを装着。
5ヶ月後に下顎0.016インチ(0.40ミリ)×0.022インチ(0.55ミリ)SS wire をセットし、パワーチェーンを継続。
7ヶ月後から顎間ゴムの3級ゴムを24時間の使用開始。
10ヶ月後に下顎犬歯と第三大臼歯の間にパワーチェーンを装着。
20ヶ月後に上顎0.018インチ(0.45ミリ)×0.025インチ(0.63ミリ) SS wire アイディアルアーチを装着。下顎に0.017インチ(0.43ミリ)×0.025インチ(0.63ミリ)SS wire にV-loop(ブイループ)を組み込んで装着し、バイパスセット。
29ヶ月後下顎0.017インチ(0.43ミリ)×0.025インチ(0.63ミリ)SS アイディアルアーチ装着。U&Dゴム使用開始。
治療期間33ヶ月にて動的治療を終了しました。3級ゴムを22ヶ月、U&Dゴム4ヶ月使用。上顎をペッグタイプリテーナー、下顎を3-3fixで保定。
開始時:上下にマルチブラケット装置を装着
1ヶ月
2ヶ月
3ヶ月
3ヶ月半
4ヶ月
7ヶ月:3級ゴムを24時間使用開始。
15ヶ月
20ヶ月:上顎に0.018インチ(0.45ミリ)×0.025インチ(0.63ミリ)SS wireのアイディアルアーチ、下顎に0.017インチ(0.43ミリ)×0.025インチ(0.63ミリ)SS wire にV-loopを組み込んで装着し、バイパスセット。
23ヶ月
24ヶ月
26ヶ月
29ヶ月:下顎に0.017インチ(0.43ミリ)×0.025インチ(0.63ミリ)SS アイディアルアーチ装着。U&Dゴム使用開始。
30ヶ月
31ヶ月
動的治療終了(38歳7ヶ月)
セファロ・パノラマ
検証・治療前後の比較(セファロの重ね合わせ)
(左)治療前後のS-SNでの重ね合わせ(黒線は35歳8ヶ月、破線は38歳8ヶ月)
(右)治療前後の上下顎骨および軟組織の重ね合わせ(黒線は35歳8ヶ月、破線は38歳8ヶ月)
症例情報
【主訴】顎が出ている
【診断名】下突咬合(下顎前突)、叢生
【年齢】35歳8か月
【治療に用いた主な装置】マルチブラケット装置
【抜歯部位】上顎第2小臼歯、下顎(右側)第1小臼歯、下顎第2大臼歯
【治療期間】2年9か月 また、治療期間と同程度の保定期間を要する
【通院回数】治療期間は33回(月に1回程度)の通院、保定期間は8回(4か月に1回程度)の通院
【治療費概算(自費)】約90万円 ※別途、初診相談料5,500円(税込)、検査診断料55,000円(税込)
【リスク副作用】
初めて装置を装着した時やワイヤー調整後は、噛むと痛みを感じたり、違和感を持つ場合があります。
矯正治療中は歯磨きしにくい部分ができるため、むし歯や歯周病になるリスクが高くなります。
歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こる場合があります。
歯並びを整え、咬み合わせを改善するため、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
リテーナー(保定装置)を使わずに放っておくと、治療前の状態に後戻りすることがあります。
※ 矯正歯科治療は公的健康保険の対象外の自由(自費)診療となります。
※ 治療費用は改定していますので、現在の費用は料金ページをご覧ください。