上顎前突(出っ歯)
上顎前突(出っ歯)とは?
上の歯が突出している状態です。「出っ歯」は、矯正治療が早ければ早いほど良いということはありません。早期治療を行った例と行わなかった例で、永久歯列期の治療後の結果には差異がないというデータも出てきています。ただし、歯の傾きが大きく、転んで歯が折れたり、脱臼など外傷の危険があったり、唇が閉じ辛い場合は、矯正治療をお勧めしています。
上顎前突(出っ歯)の方の治療の目安
上の歯が下の歯よりも大きく前に出ていて本人が気にしている場合、あるいは、下唇が上下の犬歯の間に入って下唇で上の歯を押して、さらに上の歯が出てしまうような場合は、治療をお勧めしています。 特に外傷の危険があるケースでは治療をお勧めします。
歯の傾きが原因の出っ歯
上の前歯が出ているお子さんの場合は、永久歯が生え揃ってからの治療で問題ないケースも多くなっています。生まれ持った不正は、成長と共に現れてくることもあり、早くから治療を始めることで、かえって治療が長期化してしまう恐れがあるためです。
もちろん、中には早期治療が有効な症例もあります。当院では十分な検査をした上で、早期治療の有効性が確実な場合には治療開始をお勧めしています。
あごの前後関係が原因の出っ歯
上下のあごの前後関係が原因(骨格性)の出っ歯の場合は、あごの成長が終わる前であれば、器具で上あごの成長を抑え、下あごの成長を促すことにより、上下のあごの関係を改善できるケースがありますが、これは全ての患者さんに有効な手段とはいえません。その治療を行うか、永久歯が生え揃うまで待って治療を行うかは、ご相談の上決定します。
歯の傾きが原因でない場合でも、あまりにも前に出た出っ歯は、ボールや地面、鉄棒などにぶつかって、折れたり、抜けたり、欠けたりする危険が高くなります。そのような場合は、まずケガをする可能性を低くするために、一時的に前歯を下げ、その後、永久歯が生え揃ってから、治療を行います。
指しゃぶりによる出っ歯
指しゃぶりが原因で、上の歯が前に出た患者さんの場合、上顎前突(出っ歯)だけではなく、開咬(奥歯を咬みしめた時に、前の歯や横の歯が咬み合わない状態)が見られることも多くあります。 早い時期に、指しゃぶりをやめた場合には、それだけで出っ歯が治る場合もありますが、ある程度長期にわたって指しゃぶりをしていた場合には、上下のあごの前後関係に異常が起きていることが多く、矯正治療が必要となります。指しゃぶりの患者さんの場合は、指しゃぶりをやめることが第一です。やめても出っ歯・開咬が治らない時は、速やかに矯正専門の歯科医を受診することをお勧めします。
永久歯が生え揃う前の矯正治療例
治療開始-7歳9ヵ月
8歳11ヵ月
11歳9ヵ月
治療終了―13歳11ヵ月
こちらは、歯の傾きがとても大きかったため、生え変わりの時期に治療を開始した例です。抜歯をして治療を進め、きれいな歯列に整いました。
症例情報
【主訴】出っ歯を治したい
【診断名】上顎前突
【年齢】7歳9か月
【治療に用いた主な装置】マルチブラケット装置
【抜歯部位】上顎下顎第1小臼歯
【治療期間】第Ⅰ期治療 1年 + 第Ⅱ期治療 2年 また、治療期間と同程度の保定期間を要する
【通院回数】治療期間は36回(月に1回程度)の通院、保定期間は9回(4か月に1回程度)の通院
【治療費概算(自費)】第Ⅰ期治療 約40万円・第Ⅱ期治療 約60万円 ※別途、初診相談料5,500円(税込)、検査診断料55,000円(税込)
【副作用・リスク】
初めて装置を装着した時やワイヤー調整後は、噛むと痛みを感じたり、違和感を持つ場合があります。
矯正治療中は歯磨きしにくい部分ができるため、むし歯や歯周病になるリスクが高くなります。
歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こる場合があります。
歯並びを整え、咬み合わせを改善するため、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
リテーナー(保定装置)を使わずに放っておくと、治療前の状態に後戻りすることがあります。
※ 矯正歯科治療は公的健康保険の対象外の自由(自費)診療となります。
※ 治療費用は改定していますので、現在の費用は料金ページをご覧ください。