矯正治療後のメインテナンス
当院では、矯正治療中に新たにむし歯を作らないことを目標に、患者さんのお口の中のメインテナンスに力を入れています。また、矯正治療が終了しても、患者さんには生涯、健康なお口で過ごしていただきたいと願っております。
メインテナンスの重要性
矯正治療後、歯が痛い時だけ歯科医院に行くのではなく、定期的に通院し、メインテナンスを行うことで、歯が失われるのを防ぐことができます。
20歳の時の歯の本数は同じでも…
こちらのデータでは、治療のみに通院されている方は55歳で3本、74歳では4.9本も失っていますが、一方、メインテナンスを継続している方は、74歳になって失う歯は1.3本だけとなっています
病気の原因はバイオフィルム
歯の病気は、大抵の場合、バイオフィルムから始まります。
むし歯や歯周病を引き起こす細菌は、お口の中に住んでいる多くの細菌と、細菌が作り出すネバネバした分泌物の中で生きています。ネバネバした分泌物の中では、いろいろな性質を持った細菌が、お互い上手く住み分けながら、歯や歯石の表面にフィルム状になってくっ付いて成長します。このようなフィルム状の細菌の集合体を“バイオフィルム”といいます。
バイオフィルムは、ネバネバした分泌物で守られているため、抗生物質や殺菌剤も効きにくくなります。そのため、バイオフィルム中のむし歯菌や歯周病細菌が活発になると、むし歯や歯周病を発症したり、さらに悪化してしまったりするのです。
歯科医院で専門のメインテナンスを!
奥歯の隅や、歯と歯ぐきの間の溝にあるバイオフィルムは、ご家庭での歯磨きでは取り除きにくいと言われています。歯科医院で、専門的な器具を使って定期的にクリーニングをしなければ、お口の中の健康を維持することは難しくなっていくのです。
最近では、痛いところ、具合の悪いところを治療するだけではなく、お口のメインテナンスをサポートする歯科が少しずつ増えてきました。
まず、唾液検査、歯周病検査などを行って、患者さんごとのむし歯リスク、歯周病リスクといったお口の中の状態を把握します。次に、今まで溜まっていたバイオフィルムや歯石を取り除き、初期治療を行います。初期治療が終了後は、お口の中の状態がどれくらい改善されたか検査を行いつつ、3~6ヵ月ごとに担当の歯科衛生士によるバイオフィルムを取り除くメインテナンスを受けていきます。
こういった歯科医療システムは、まだ日本では新しく、戸惑われる方もいらっしゃるかもしれませんが、歯科先進国では、自分の病気の情報について十分な説明を受けて、メインテナンスを続けることは“歯科医療の常識”になっています。