2007年3月アーカイブ

EBM(Evidence-based Medicine)

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EBM(Evidence-based Medicine) 根拠に基づいた治療」と紹介されています.一言で説明するのは難しい考え方ですが,とても重要な考え方です.

一つ例をあげてみます.高血圧の患者さんがお薬で血圧をさげることは普通の治療として行われます.これを当たり前と思わずに調べた人々がいました.すると結果はどうだったでしょうか.サイアザイドとベーターブロッカーというお薬では脳卒中は減るのですが心筋梗塞と糖尿病が増えてしまうため飲んでも寿命は延びませんでした.ここで言う寿命とは調査した集団の平均値です.他のお薬はまだ大規模調査の結果が出ていないのでいいとも悪いとも判断がつかないようです.

さて個々の患者さんで「じゃあ高血圧は薬飲んでもしょうがない?」と言う問題がでてきます.エビデンスに忠実に従うのがEBMであればそうなりますが,EBMとはそういうものではないようです.ここでEBMの手順を紹介します.

Step1 患者の問題の定式化(高血圧が問題点であると認識する.)

Step2 定式化した問題を解決する情報の検索(サイアザイド,ベーターブロッカーや他の薬の大規模調査の結果を調べる.)

Step3 検索して得られた情報の批判的吟味(信頼に足る情報かどうか吟味する.)

Step4 批判的吟味した情報の患者への適用(目の前の患者さんは薬を飲むべきかどうか決定する.)

Step5 step1~step4の手順の評価

Step4でお医者さんは得られた情報を総合して考えて目の前の患者さんの治療法を選択することになります.5年以内であればサイアザイドとベーターブロッカーを飲んでも寿命は短くならないので,すごい血圧の高い人に短期に薬を使ってその間に生活習慣の改善を行うとか,考える訳です.

ここに示すようにEBMは医療を実践する手順を示すものとのとらえ方が一般的ですが,その成り立ちとして医学的判断を権威のある教授の言ったことを基にするのではなく,批判的吟味に耐えうる研究結果をもとにすべきであると言う至極,真っ当な考え方があります.ですから大学で行われる研究で医療の実践のための根拠を示すためのものはEBMの手法に則って行われ,批判的な吟味に耐えうるものでなければならないはずです.それが歯科や矯正歯科という小さい分野であってもです. いま行われている研究はどうであるか批判的な目で検証すべきであると思います.医療の実践のための根拠を示すための研究で明らかに批判的吟味に耐えられない研究は時間とお金の無駄です.また,責任ある立場にいる人はEBMの批判的吟味に耐えられない研究の結果(たとえば動物実験)をもって医療の実践を語るようなことをしてはいけないということです.サイエンティストとしてのプライドを持っていただきたいと思います.


写真は参考文献です.

岡田正彦先生 講談社α新書です.


 

村富神社の桜5

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本殿裏の鳥井横にあります.

「日清の桜」

染井吉野,江戸中期江戸豊島染井産

明治28年4月 日清講和条約記念だそうです.


普通の染井吉野でも歴史があります.

村富神社の桜4

 

shapeimage_2.png「十月桜」

彼岸系 年二回10月,4月開花 冬も咲くだそうです.

昨年の10月も咲いてました.確かに冬も一つ二つ咲いていました.

村富神社の桜3

 

shapeimage_2.pngこの木はまだ咲いていません.

「梅護寺数珠掛桜」ばいごじじゅずかけざくら

新潟県北蒲原郡京ヶ瀬村

四月中旬

だそうです.

 阿賀野市ですね.

町村合併で地名が変わるのは歴史がなくなるみたいで悲しいですね.

 京ヶ瀬村の梅護寺に原木があり、1927年に天然記念物になりました. 親鸞聖人が数珠をかけた桜から数珠のような花が咲いたと伝えられている。そうです.

村富神社の桜2

shapeimage_2.png「越の彼岸」

江戸彼岸系の桜,4月中旬

富山東となみ城端町自生だそうです.現南砺市ですな.

村富神社の桜

shapeimage_2.png続きです.

「アーコレード」彼岸桜系 英国産実生の珍種 3月上旬

だそうです.

村富神社

 

shapeimage_2.pngこんにちは最近忙しくブログの更新をしていませんでした.書きたいことは色々とあるんですがエネルギーが必要なヘビーな話題が多いのでもう少し後で書きます.と言うことで今日は軽い話題です.散歩で毎朝,村富神社まで行っているのですが,境内に色んなサクラがありびっくりしました.今日はその写真を撮ってきましたので紹介したいと思います.1週間くらい前から散歩にカメラをもっていこうと思いつつ忘れていまして,今朝やっととってきました.

さて村富神社ですが相模原市矢部1丁目にあります.1860年代後半に江戸の商人,相模屋助右衛門が当地の新田開発に先立ち稲荷社を創健,新田開発成就を祈願したのが起こりであると伝えられています.

さて,上のサクラ参道入り口近くにあります.

「寒緋桜」台湾緋桜,緋寒桜ともいう,沖縄列島に自生,3月中旬開花だそうです.

 

阿川佐和子様

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阿川佐和子さんと面識はありませんが(当たり前です)わりと好きです.たけしのTVタックルで浜田幸一大先生を一括する佐和子様がすきです.と前置きはこれくらいにして,週刊文春3月22日号の「阿川佐和子のこの人に会いたい」で日本の医療が抱える問題点と解決策が示されています.興味のある方はご一読ください.お相手は「鎌田 實」さん,諏訪中央病院名誉院長のかたで,「がんばらない」「あきらめない」などの著者です.ちょいメタボリックにやさしい「ちょい太でだいじょうぶ」という本も出しておられます.対談の冒頭ですでに佐和子節全開です.その部分を引用します.

「みんな病院で管だらけで死ぬよりうちで家族に囲まれて死にたいと言ったでしょ.国はそれを実現させる方向に導こうとしているんですよ.」と言われると,「ああ正しい方向なのかな」って騙されかけるんですが......

騙されかける....ですよ.佐和子さんもっと言って!

冗談はさておき医療制度改革(改悪)の問題点

回復期リハビリテーションの問題点

ガン難民の問題点

産婦人科医,小児科医の減少問題

医師の不足

先進国中,最低の医療費

など鎌田さんが認識されている.日本の医療の問題点がきちんと書かれています.

さらに解決策として三つのことが挙げられています.

1.医療費抑制政策をやめて逆に2兆円あげる.ガンは日本中で世界標準の治療を受けられるようにする.

2.産婦人科医,小児科医の充実

3.在宅医療と緩和ケアの「支える医療」の充実

これをして

「医療と福祉を充実させます.国民負担は増やしません.皆さんの命は守ります」とアピールすれば国民も安心して貯金を使うようになるのではと鎌田さんは言っています.

その通りだと思います.鎌田さんは2兆円を核サイクルもしくは道路,新幹線財源からぶんどってくるといってますが,上記の3点が解決するんであれば消費税の増税はしょうがないんじゃないかと私は思います.

鎌田さんも立派な方のようですが鎌田さんのお父さんもすばらしい方のようです.でもやっぱり佐和子様が一番ですね.何せ「騙されかける」ですから.

矯正治療のための検査2

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前回は矯正治療に必要な検査についてコンセンサスが得られている部分についてお話をしました.セファロがなければ矯正治療ができないわけではありませんが,治療が難しい患者さんで予測と違う好ましくない変化が起こった時に,「なぜそれが生じたか?」がわかるための資料です.術前のセファロがなければ比較できませんから原因を特定することはできません.セファロのように無くてはならない検査がある一方で,当院で行っているカリエスリスクなどのように役には立つが無くても良いという検査もあります.

最近では矯正歯科医院でもCT(conputed tomography)を導入する医院があります.埋伏歯(骨の中に埋まったままの歯)や顎変型症(顎の曲がった患者さんや下あごが過度に大きい患者さん)の外科的矯正治療(手術です)の際にはあると,とても有用です.私も導入したいところですがそのコストを患者さんにご負担いただくわけにはいかないので,必要な場合は町田市民病院や東海大学病院にお願いしています.

呼吸の状態を検査する矯正歯科医院もあるように聞いたことがあります.口呼吸は歯並びはもとより口腔周囲の機能に悪い影響を及ぼします.矯正歯科医院で口呼吸を指導してやめさせる場合にはモチベーションをあげるためにそのような検査は有用なのでしょうね.そして将来的にそん検査を行うことで矯正治療の質が向上するとなどという,よい結果が信頼の置ける形の論文で示されればみんなが行う検査になるのでしょう.今のところはそうではないようです.

基本的には検査は患者さんに有益でなくてはいけません.その検査を受けたときのデメリット(害)とメリット(利益)を比較しメリットが多くなくてはいけません.デメリットは時間がかかるのもそうでしょうし,採血などの体に傷をつけるてしまう検査もあります.お金がかかるのデメリットですね.メリットは検査を行うと治療法の選択が容易になり,治療の安全性が増す,治療の質が高まる.治療期間が短縮できる.などでしょうか.前回お話した検査はおおむねメリットが多いとコンセンサスが得られている検査です.

芽吹き

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こんにちは一週間ぶりの更新となってしまいました.先週末は新潟大学で診療を行っていました.新潟は雨,雪でした.最近は相模原も気温が低いですね.冬の最後にちょっと冬らしくなりましたでしょうか.そんな折り,駐車場のひめしゃらが芽吹きました(写真).すごく暖かい冬で,春みたいな陽気が続きましたが,芽吹きをみて春が来るんだと実感しました.春はいいですね.新しいエネルギーにあふれています.花粉さえ飛ばなければもっといいのですが.

矯正診断のための検査

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今日は矯正診断のために行う検査はどの様なものがあるか一般的なお話をします.写真は側貌頭部X線規格写真(側貌セファロ)です.普通の歯医者さんにはない,歯科矯正治療を行う医院にあるちょっとだけ特別なレントゲンです.

矯正治療を始める前には患者さんをどの様に治したらよいか考えるための資料として,また治療前の患者さんの状態の記録として,資料を採取します.これが検査と呼ばれるモノです.

まずお口の中の写真,お顔の写真を撮ります.お口の写真はわかると思いますがお顔の写真は「どうして必要なの」と思う方がいるかもしれません.矯正治療で歯の位置を変えると口元の形も変わるんです.また笑ったときの歯の見え方,正中線の位置など歯を並べるために必要な情報がたくさんお顔から読み取れます.そのためお顔の写真を撮るのは重要です.

次にレントゲン写真を撮ります.上に示したセファロ側面は必須です.場合によっては正面の写真も撮ります.セファロではお顔の骨格がどの様な形なのかを診ます.たとえば出っ歯の原因は上の顎が出ているの?上の歯が出ているの?それとも下の顎が小さいの?下の歯が引っ込んでいるの?このレントゲンで判断します.成長期の患者さんでは時期の異なる2枚の写真から成長の方向と量を知ることができ,さらには具体的な治療に対する反応もある程度予測することができます.また治療中に生じた好ましくない変化がなぜ起きたのか?治療前の写真と比較することで原因が特定でき,的確な対処ができます.セファロがなくても矯正治療はできますが確実に質は下がると思います.

もう1枚パノラマX線写真をとります.これは個々の歯の状態を把握するために撮ります.医院によってはデンタルX線写真の10枚法などを撮るところもあります(専門的な用語ですいません,小さいレントゲンを10枚です).この写真からは個々の歯の健康状態(虫歯はないか?歯周病は進んでいないか?)を診ます.また顎の骨に病気がないかもこのレントゲンでわかります.

次は皆さんがあまり好きでないお口の型をとります.印象剤をお口の中でかためそこに石膏を注ぎ患者さんの歯の型を作ります.上下のかみ合わせの記録もあわせて採り患者さんのかみ合わせの記録が3次元の模型としてできあがります.場合によっては上の顎が頭に対してどの様についているかの記録(フェイスボートランスファーといいます)を採ることもあります.

以上が通常行われている.検査の項目です.これらの資料をみながら治療方針を決定します.

当院では上記の一般的な項目の他に患者さんの虫歯に対する抵抗性「カリエスリスク」を知るために唾液検査を実施しています.検査をしたからと言って虫歯がなくなるわけではありませんが,患者さん毎のカリエスリスクを知りその方に適した口腔衛生管理,指導を行うことで(これもオーダーメード治療です),矯正治療中の虫歯発生を0本に限りなく近づけることを目標にしています.いまはまだ0本です.

渡辺謙さん

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先日,「硫黄島からの手紙」をみました.「父親たちの星条旗」のほうは見逃してしまいました.率直に日本を守ろうと戦死していった方の姿に感動し涙しました.その後,映画のなかで渡辺謙さんが演じた栗林忠道中将について梯久美子さんが書いた.「散るぞ悲しき」を読みました.恥ずかしながら,映画を観るまで硫黄島であった出来事を知りませんでした.硫黄島の擂鉢山に翻る星条旗の写真はみたことがあったのにです.故郷から遠く離れた絶海の孤島で日本を守るために死んでいった2万余の人たちのことを私は知りませんでした.太平洋戦争で多くの人が亡くなったという漠然としたことは認識していました.今回映画と梯さんの本を読んだことで硫黄島に限らず色んなところで日本を守るために命を亡くなった人々がいる,その人達にも今の我々と同じように愛する守るべき家族がいたという当たり前のことを改めて理解し,亡くなった人たちに対して感謝というのとちょっと違うのですが,「ありがたい」という思いを伝えたいという気持ちになりました.やはり過去になにが起こっていたのかきちんと知ることは大事ですね.この度のきっかけはクリントイーストウッドというアメリカ人の監督からもたらされた物でした.自国の歴史をアメリカ人に教えてもらいました.日本人として不勉強を恥じました.同郷(新潟県魚沼市旧小出町)の渡辺謙さんが主演であったため観て感じて知ることが出来ました.ありがたいです.

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