いつの間にか10月である.9月半ばまで暑いなと思っていたら,突然寒くなり「なんだ,なんだ」と思っていたら今日のお昼は季節なりに気持ちの良い風が吹いていた.今は曇っているちょっと蒸し暑いか?台風が来ているらしい.日曜日の運動会が心配である.何となく文章が内田調になっているが気にしない事にする.
昨日は医院はお休みであったが,わたしはアルカディア市ヶ谷で1日お仕事であった.何をしていたかというと審査である.ここからはかなり手前味噌になるので読みたくない人はやめてください.
日本矯正歯科協会JIOという団体がある.歯科矯正医が集まり臨床を実際に担っている歯科矯正医が中心となりきちんと技術を認定する専門医制度を確立するために活動を行っている団体である.昨日はその日本矯正協会JIOの認定審査があった.なんと私は恥ずかしながら審査員なのである.私もきちんと認定を受けて認定医になったので恥ずかしがる必要はないし,大学で長年臨床に携わり後進の育成に勤めてきた事からも審査員であることを誇りこそすれ,恥ずかしがる必要はないのであるが,日本人の一人としてこういう場では,何となく謙遜をしてしまう.(これを謙遜というかは人により意見が分かれるかもしれない)
人の症例を審査することは大変に疲れる.治療前後の資料(写真だったり模型だったりレントゲンだったり)をみて,比較し治療方針は妥当であるか?治療結果は良質か?治療期間は妥当か?を判断する.一人の申請者に対し5症例あるのでその数も半端ではなく.集中して行っても時間いっぱいかかる.一人一人の審査員が全ての症例をみたうえで,面接を行い.最終的な評価を行う.この会の審査システムの優れた点は審査される症例を審査する側が指定する点である.
審査される側が審査される症例を持参する場合,可能な限りよく治った症例を持っていくのは当たり前である.そのような審査でも数を審査すればだいたいその先生の実力はわかる.でも10症例程度であれば長年矯正治療に携わったものであれば運良く治ってしまった症例をそろえることも可能である.そういった事を排除し,きちんとその先生の実力をみるためにこの会では前もって100症例のリストを提出していただいてその中から審査委員が当日持参すべき5症例を指定するのである.
疲れたので文体変えます.
そこのあなた!「5症例用意しておけばどの症例がえらばれてもその5症例を持っていけばいいじゃん」と思ったあなた!そんなことはできないようになっています.患者さんの年齢,不正咬合の種類,治療方法,治療期間,レントゲンの計測値まで100症例分リストになったものを提出しているのでごまかしは効きません.
ですからそこに選ばれた5症例はその先生の実力を実によく表します.
その代わり試験を受ける先生方の仕事量は半端ではありません.100症例のリスト作りだけでも凄い仕事量です.
この会の認定を受けたからといって明日から患者さんが増えるわけではないのに,このような努力をして試験を受ける先生方の努力に感服いたします.
でも自分が試験を受けたときに思いました.自分の治療を振り返りさらなる向上のための意欲が湧いてくると! 結局自分のためになるんですね.
さて歯科矯正の世界には学会の認定医というものがあります.2002年以前には書類審査だけで認定が行われていました.書類をいくら審査してもその人の技術は解りませんね.このシステムで技術が担保されるためにはシステムを取り巻くすべての人達が誠実であることが要求されます.結果としてこのシステムでは矯正臨床の質は担保できませんでした.私も持ってますよ.学会認定医.