(more 〜; most 〜)
1 ( →subjective)
a 〈物事が〉客観的な.
b 〈人・意見など〉個人的感情を入れない,公平な.
2 外界の,実在の.
3 (比較なし) 目的の,目標の.
4 (比較なし) 【文法】 目的格の (cf. →accusative).
研究社さんの辞書の引用です.
人がやることに純然たる客観性は存在しません.何たって脳の中で考えていることですから.
昨日の話の続きです.オブジェクティブグレーディングシステムという矯正治療結果の評価システムがあります.アメリカの矯正専門医の審査に用いられている方法です.治療後の模型を計測し並びやかみ合わせの乱れを点数化し,よく咬んでいるか,客観的に表せるシステムだそうです.さて,たくさんの患者さんを治していく中では咬む力が弱かったり顎が曲がっていたり,どんな名医が治してもよく咬まない患者さんがいます.このような症例は誰が治してもオブジェクティブグレーディングシステムで評価すると低い点数がでます.このシステムではその症例の治療の難しさが反映されていないのです.そもそも症例の難易度を客観的に示す良い方法はありません.現状ではこの判断は経験豊かな複数の人間の主観に頼らざる得ないのかもしれません.アメリカではオブジェクティブグレーディングシステムの評価基準と合格に必要な目安の値が公表されているので,評価される側があらかじめ得点を予想することができます.そうするとどんなことが起きるかというと,誰が治しても治るような簡単な症例を持参するようになるということです.専門医とは難症例にも対応できる技術を持つ人々だと思うのですがその審査にあたっては誰が治しても治る症例のオンパレードになっている事が問題になっています.(アメリカの審査は10のカテゴリーに当てはまる10症例を自ら選び持参する.)
この問題に答えるために我々は100症例のリストから5症例を選ぶという方法をとっています.さらに最初から審査に於いては複数の審査員の主観も利用されることが宣言されています.