またしても、福岡にいってきました。今年2回目の福岡です。何かとご縁があるようです。
今回は第71回全国学校歯科保険研究大会に参加してきました。学校歯科医ではないのですが、歯科医師会の学校保健委員会に所属していますのでその関係で参加しました。
参加して良かったです。それは特別講演していただいた。中村修一先生のお話が聞けたからです。
演題は「ネパールにおける学校歯科保険開発」でした.
1989年よりのべ580人の歯科医師・医師・学生・看護婦・歯科衛生士の参加による歯科分野における国際貢献を現在まで継続して行っているという講演でした.当初の6年間は歯科治療のみでしたが1993年よりヘルスケアを導入して、学校歯科保健,母子歯科保健,地域歯科保健の3分野で活動を行ったそうです.学校保健,母子保健は順調に成果を上げたのですが地域歯科保健はうまくいかなかったそうです.その理由「男は働かん」だそうです。
ネパールでの中村先生の活動は以前から知っていました。新潟大学歯科矯正学教室のM利先生からほんの少しお話を伺ったことがありました。
本音かどうかわかりませんが何で始めたかの理由をお話になってるときに
「だまされたとよ」
とおっしゃいました。
基が山男なのでヒマラヤに憧れ、ヒマラヤの国であるネパールに貢献がしたいと計画しているときに、ネパールのひとに
「欧米や日本の人たちは調査してデーターをとっていくばかりで何もネパールに貢献してくれない」
といきなりいわれて、そうか調査より貢献が先かということで歯科治療を開始したのだそうです。
「今になって思えば、誰にでもそういっておねだりしていたんだとわかった」と。
40代前半の若い九州の教授には
「それがわからんかったと」
で
「だまされた」と。どこまで本気かはわかりません。
その後、ネパール人の口腔保険専門家の養成プロジェクトを立ち上げ,ヘルスポスト(簡易保健所)の職員に対して教育を行ったが全く機能しなかったそうです.その理由はヘルスポストの職員は典型的な公務員であり,仕事が増えることに関して全く非協力であったから.長老の助言により学校の先生を対象に変更したら全く持ってうまくいくようになった.ネパールでは学校の先生は高卒の資格でなれる.郡によっては中卒でもなることができる.先生の多くはその村の出身で村に対して愛があり何よりネパールでは先生が尊敬されている.よって学校を中心とした歯科保健の取り組みは影響力が強くヘルスプロモーションの結果も良かった.結局の所,ネパールでの歯科保健活動は学校歯科保健に帰結しそこからの発展で地域歯科保健活動の一部が行われる状態であるそうです.このお話をした際に中村教授は老子の言葉(多分そういったと思うのですが)
「官となれば人の志を奪う」
役人になると志がなくなるよという意味.を紹介された.
とても印象的でした.
福岡県の職員として長年禄を食ンでいる自分はもう向上心のかけらもないとおっしゃていました。
あと、興味深かった話は日本のODA予算の20%でいいからNGOにわたして民間に国際貢献させよとおっしゃていました。その方が現地の人のためになるし日本人の評判もあがる。なにより志をもったNGOが日本にはある。役人は民間はずるをしてお金を自分たちで使ってしまうと思っているらしいがそんなことはない。決算の義務だけ課せばきちんとする。と
役人のODAのほうが変なお金の使われ方していると思いますね。
何を隠そうこの学会は主催が文部科学省なんですよ。その講演で
「官となれば人の志を奪う」
ですから。中村先生大好きです。
もうお一方
シンポジュウムの座長をなさった
昭和大学歯学部口腔衛生学教室 向井美恵教授
がシンポジュウムに先立ちスライド3枚だけ示されて
学校歯科保健の分野では活動に対する評価がなされていない!と
柔らかい言葉で
優しいお顔で
くり返し
くり返し
くり返しおっしゃっていました。
さて誰に対して言っていたのでしょうか?