「時代の趨勢、大衆の嗜好。日本という国が自ずから選んだ結果でしかないのです。」
マモルという登場人物がおせんに言った言葉です。
といわれても何のことかわからないでしょう。さてこれから説明するのも大変だ。
「おせん」は私が愛読している漫画です。講談社のイブニングに連載されています。余談ですが他に今楽しみにしている漫画はモーニングの「GIANT KILLING」です。網本将也恐るべしです。話をおせんに戻しましょう。いまの物語の舞台は鹿児島県は指宿市山川町、鰹節の名産地、お話も鰹節にまつわるお話です。また横道にそれますが、山川町は義弟の出身地でそのお父さんがとても良いところだから一度おいでと言っていただいていました。がいけないんだろーなー。
もとい、でおせん一行が本枯れ節(本物の鰹節)を求めて山川町まできたところに、事件が勃発訪れた鰹節工場の取引先が倒産、あてにしていた銀行の融資も何者かの差し金でストップされ鰹節工場は倒産寸前、そこへ表れたのがくだんのマモル、亡くなった彼の父は日本一の本枯れ節の職人でその名は東京でも知られており、おせんは幼少のころからその本枯れ節の味に親しんでいた。そのまもるは今では大手食品メーカーの手先として働いており、幼なじみのさとるの工場を手にいれてパック入りの鰹節をつくる工場とするために裏で手を回していた。そんなマモルに亡き父の墓前でおせんが問うた。
「この国から本枯れ節が亡くなってもいいんですか?あなたのお母さんが誇りにしていた本枯れ節がこの世から亡くなってもいいんですか?」
マモルが答える。
「たとえこの世から本枯れ節が無くなったとしても私共はそれを無くすことを目的に事業をしたわけではありません。時代の趨勢、大衆の嗜好。日本という国が自ずから選んだ結果でしかないのです。」
ちょっと解説が必要ですね。本枯れ節は一級品の鰹節長い時間掛けて何度もかび付けし、乾燥させ熟成させた一品です。ですが市販の鰹節パックは鰹節になる前の柔らかい鰹節の原料を削ってパックしたものがほとんどだそうです。原材料に鰹節とは書いていないそうです。
日本人の嗜好だと言われてしまえばそれまでですが、食品メーカーが売ろうとしてコマーシャルという名の教育をした結果ではないのでしょうか。真実がわかっていれば誰もそれを欲しいと思わないでしょ。色んな食品偽装も同じですね。真実を知れば誰も買わない。
僕は、作る側、売る側の倫理の問題だと思う。鰹節と謳うのであれば鰹節を売るべきだ。鰹節もどきを売るべきではない。農水省もそれを許すべきではない。
歯科矯正医も同じですね。「患者さんが前歯のでこぼこだけとれればいいから」そこだけ治してお金をもらうそれは医療ではないですね。だってそんなのすぐ戻ってしまうもの。きちんと噛むように新しい秩序を作らないとすぐに前歯のでこぼこなんて戻ってしまいます。
社会保険庁ですら情報をきちんと伝えないでごまかして年金特別便なんてヒトを馬鹿にしたような通知を送っていた。たたかれてちょっと情報を追加してもう一度出すなんて言ってる。これはおかしいでしょ。と私は思う。だから自分の仕事ではごまかすような事はしたくない。患者さんに十分情報をお伝えしたい説明したい。でも時間は無限ではないんですよねー。