2008年4月アーカイブ

第30回与五沢矯正研究会

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4月20日21日22日の三日間、沖縄県名護市の万国津梁館で第30回与五沢矯正研究会が開催されました。私とスタッフ共々参加してエネルギーを与五沢先生や参加された先生また部瀬名の大地と海からいただいてきました。そのエネルギーを相模原の地で治療を通じて患者さんに還元できたら良いなと考えております。

与五沢矯正研究会は日本でのエッジワイズ装置を用いた治療をその黎明期から手掛けられた与五沢文夫先生の名前を冠した研究会です。個人名を冠した学会は日本では珍しいです。今でこそ歯科矯正治療になくてはならないエッジワイズ装置ですが、日本に導入されたのは1960年代の後半です。そのころ、与五沢先生はアメリカに渡りエッジワイズを習得し帰国し、その知識と技術を日本歯科大学の後輩のみならず、他大学の歯科医師にも余すことなく教えてくださいました。この研究会は与五沢先生の講習会を受講し志を同じくした人たちの団体です。

今回は30周年記念大会ということで、第0回講習会からの歴史がひもとかれました。日本にいかにしてエッジワイズが導入されたか、スエヒロ先生(与五沢先生の師匠、日系アメリカ人)の貢献がいかに大きかったかが語られました。この頃の歴史は意図的に語られなかったり、間違った風に語られていると当時を知る先生方はおっしゃっていました。ま、歴史というものはえてしてそういうものですが。。。。

私は17回大会より参加させていただいています。

会のメンバーである事を誇りに思った3日間でした。

TAKE ACTION! 2008

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今朝の朝日新聞に中田英寿氏の顔写真が載っていた。

妻に「なんか昔より貧相な顔になったと思わない?」と問いかけてしまった。

案の定「うーん?」という答えしか返ってこなかった。

何でもエキシビションマッチを主催するのだそうだ。彼にとって、社会のための最初の一歩らしい。

私はサッカー観戦は好きである。新潟にいるときはよく見に行った。また、サッカーをプレーするのも好きである。とても下手で全く走れないが。日本のワールドカップ初出場にも興奮したし、日韓ワールドカップでは新潟スタジアムビックスワンでの試合はすべて足を運んだ。

相模原に移ってからは、医院の仕事に時間を費やすことが多くなり、テレビを観る時間が極端に短くなった。そうなると、ドイツワールドカップは以前ほど思い入れがなくほとんど観なかった。医院ができたばかりで患者さんのために時間を費やすことがおおかった面はあるが、それまでのサッカーフリークだった自分はマスコミに踊らされていたのかもとも思った。そんなスタンスなので中田英寿氏のファンというわけではないが何してるんだろう?位の興味はあった。

2001年コンフェデレーションズカップでみた中田英寿氏は輝いていた。準決勝のオーストラリア戦、雨の中で砂を噛みながらのヘディングで挙げた決勝点は鳥肌がたった。ま、なんでも一流のものはなんだか道理がわからなくても感動する。(私だけかもしれませんが)

院長室の机の傍らに1年前に買った「CNN ENGLISHI EXPRESS」という英会話の教材本が捨てられずにおいてあった。ずっと新潟では英会話を習っていたので相模原でも続けたいと希望はしていたが、日々の雑事に追われしていなかった。そんな中で1年前に相模原横山の中村書店で目について買い求めた本であった。1年たったので捨てようとしたが捨てる前に付録のDVDだけでも観てみたところ、浜崎あゆみ、平井堅、琴欧州、宮本茂、安藤忠雄、緒方貞子、と一緒に中田英寿氏のREVEALEDが収録されていた。なんとなく、英会話の勉強のきっかけにと、毎日、そのプログラムを観て聞いていた。そこに描かれている中田英寿氏は旦那様であった。お金持ちの旦那様が色んな所を見て回っている。 そんな雰囲気だった。 世界中の色んな所に行って色んな人に会い。その国の光と影を両方見る。事をしたのだそうだ。それから1年、やるべき事が決まったようである。世界の貧困問題・環境問題・医療問題・教育問題を何とかしたいらしい。

環境問題をすべて地球温暖化に収束させ、温暖化ガスを削減すれば人類は免責されるといった論調のマスコミには憤慨するし絶対同意しない。(だいたい温暖化ガス削減を言い出したのは英国である。一節によれば途上国をさらに収奪するための方策だという話もある)

環境問題は複雑である。私たち自信のことととらえ、マスコミの情報を鵜呑みにしないで自分で考えることが必要である。

中田英寿氏が始めた活動。プラスワンキャンペーン。個人が環境などの社会問題を考え、何か一つ行動を起こすということは良いことだと思う。自分のためになにかをしてもいいと書いてある。明日の自分は他者である。ある意味、他人と同じ事である。他者のために何かすること。これは本当に良いことである。この考え方をドンドン広めて欲しい。がんばれ中田英寿。

がんばれTAKE ACTION! 2008


さて、私の短冊を見つけてください。

死神の精度

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Sweet Rain死神の精度」という映画を観てきました。上映時間が手頃だったので何の予備知識もなくみたのですが、伊坂幸太郎さんが原作の映画でした。以前ここで紹介した。ゴールデンスランバーの作者ですね。ゴールデンスランバーを手に取ったのも書店でなんとなくでした。伊坂幸太郎さんに縁があるみたいです。縁があるのではなくただ単に伊坂さんが売れているだけという風にもかんがえられますね。

映画の中で死神は「人間はいつか必ず死ぬんだ。死なんて普通のことだ。」という。

これから不慮の死をするかもしれないひとに死神が聞くんですよ。死についてどう考えるかって。

主人公が「そりゃ、あんたにとって死は普通のことかもしれないが、私にとっては特別な事なんだよ。大切な事なんだよ。」て答える。(間違えてたらごめんなさい。)

ちょっと鳥肌がたちました。

物語後半の海が見える美容室は新潟の柏崎のようです。凄く海と青空が綺麗でした。

ちょっと元気が出る映画です。うまくできすぎの感はありますが。お勧めです。








死について考えたことはあります。養老先生の教えに従って自分の死については何も準備はしないことにしました。死んだら自分は無くなるんですから。それに準備し始めたらきりがない。よく生きることにエネルギーを使うことにしました。ただ身近な人の死に対してはある程度準備をしておいた方がいいように思います。悲しみを乗り越えてその後も生きて行かなくてはいけませんから。ここ数年で立て続けに父と母を亡くしました。ま、親の方が先に死ぬんですから当たり前のことで特別何も思っていないンですが、何度確認しても父と母が何年に死んだのかきちんと覚えられない自分に気づきました。もしかすると心の奥底で死を認めるのを拒否しているのかもしれません。


さて何を書こうか

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ブログの更新をしなければと思い立ち、何を書こうかと考えている時に、ふと「立派な文章をかいてやるぜ!」と意気込んでいる自分を見つけた。一方で、「そんなに意気込んでもたいしたモノは書けないよ。だいたい、誰に向かって何を伝えるんだい?」と冷ややかな自分がいる。書き始めれば何とかなるなと思い書き始めてみたものの、なかなか続かない。書きたいこと、皆さんに伝えたいことは沢山あるが、うまく文章にできない。


今日は働くということについて書きます。


と宣言してみたら筆が進むかしらん?

私は自分のオフィスで働くのが好きです。(誰に対して書いているか自分でも定まってないのでその時々で語尾が変化します。気にしないでください。)

なぜ好きか?患者さんが喜んでくださるから。私の治療という労働が患者さんのためになっていると実感できるから働く意欲が湧いてきます。

また、日本矯正歯科協会や歯科医師会の仕事をするときも一生懸命やろうと思います。多分、組織の人が僕に信頼をよせてくれているのを実感しているのでその信頼に応えようとしているんだと思います。

ここまで、かなりいい子ぶって書いてみました。私が思っている事については真実ですが内容については内田樹先生の受け売りです。

// 私たちの労働の意味は「私たちの労働の成果を享受している他者が存在する」という事実からしか引き出すことができないからである。// と「一人では生きていけないのも芸のうち」に書いてある。

私は「ふむふむ」とその論に同意し自分に置き換えて考えてみた。その結果が先程の文章である。私も人様の役に立とうと生きている事が確認できて安心した。


昨日の夜中、無人のオフィスでファクスが、かいがいしく働いていた。出てきた文書を手にとってみると

「歯科医院開業セミナー・押し寄せる二極化の波〜勝ち組になるためのポイント〜」

と書いてあった。㈱セム○○○ 古○○氏、㈱メ○○○ 本○○○氏、㈱デン○○○ 西○○○氏の講演会のご案内であった。

誰、この人達?私は知らない。結構この手のファックスは頻繁に送られてくる。みるたびに嫌悪感を感じていた。一方で、患者さんを増やすための方策は必要だよねと思う自分もいるので、なぜ嫌悪感を抱くのかよくわからなかった。人のオフィスに勝手に必要のないファックスを送りつけてくる神経がわからない。という憤りはあるが、その数倍の嫌悪感があった。

「一人では生きていけないのも芸のうち」を読んだら、何となくその理由がわかった気がした。でもうまく皆さんに伝えられないのよ。その辺がまどろっこしい。

要するに、このファックスはお金を儲けましょ!皆さんお金が好きでしょ!といっているのである。確かに私もお金が好きである。最低限はないと困る。でも、ね。内田先生が言っているように、日本中がお金のために働くようになって日本の社会がうまくいかなくなってきている。(詳しくは内田先生の本読んでください)基本的な集団では労働の報酬はつねに集団によって共有される。個人的努力に対して個人的報酬は戻されない。のだそうだ。ふむふむ。

今の日本(ちょっと前の日本かもしれない)は生存競争がほとんどなくリソースの配分に負けても餓死することがない時代なので、「個人の努力の成果は個人が占有して良い」という特例がまかり通っているんだそうだ。ふむ。

勝ち組になるためにというのはその類の思想である。突き詰めていくと他者を蹴落とし、自分の医院だけは生き残ろうとする戦略である。この戦略は短期的にはそのような医院の繁栄をもたらすかもしれないが長期的には歯科業界そのものが信頼を失うという危険性を孕んでいる。それはなぜか?彼らは集客にはご熱心であるが、治療の質には興味がないからである。医療の質は短期的には目に見えない。歯科医師のフェアネスに依存している。質を高めるということは時間がかかるということである。時間がかかるということは同じ単価では儲からない。単価が決まっている社保、国保の治療で考えると悪魔に魂を売り渡さないと儲からない。であれば保険外で単価を上げる事をセミナーでは勧めるのであろう。では果たして、どれだけの歯医者が患者さんから高額の料金をいただけるだけの治療技術を持っているのであろうか?多分セミナーでは技術は大事であるから各歯科医師が研鑽し習得すべきだと言うだろう。しかし彼らは直接技術を教えない。かくして、確たる技術もなく集客にだけご熱心な歯科医院が世の中に増えていき、保険外の治療をばんばんするようになる。歯科業界の信頼は地に落ちる。というような事にならないように歯科矯正の分野では日本矯正歯科協会がきちんとした専門医認定制度を運営している。きちんとしたというのはフェアネスがあるということですね。(フェアネスがない専門医制度を運営している所もあります。午前中、専門医申請者の症例を審査していた人が午後からは自らが申請者となり審査を受けるなんてフェアネスのかけらもない)というとずいぶん偉そうであるが、自分にできることは何かと考えたときに日本歯科協会の活動に協力することが歯科治療の質の担保につながると思ったのである。

エネルギーを使ってセミナーを開催するのであれば主催者は勝ち組になる事ではなく、より良く生きることを教えるべきなのである。そもそもお金だけが人生の目的である人は歯科医師なんかにはなっていない。医療とは本質的には他者もしくは社会に対する奉仕である。内田先生が言うところの労働と同じ事ではあるがそれを強く意識しないといけない職業である。より良く生きることとは他者たる患者さんに喜んでもらうことに他ならない。セミナーを行う者は現況を分析し、患者さんの望みを把握した上で集客に必要な歯科の技術を教えれば良いのではないかと思う。そうすれば、セミナーそのものが社会に役立つものになる。いかがですか講師の皆さん。

歯周治療

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すでに1か月前になるが、3月6日に相模原市歯科医師会主催の講演会で東京都中央区開業の二階堂先生の講演を聴いた。二階堂先生はペリオを得意とする先生である。81年に卒業して3年間、歯科麻酔に残ったあと、10年間お父様のオフィスで働いた。そのあと自分の臨床がわからなくなりボストンのタフツ大学へ留学してペリオ教室で大学院を卒業してきたのだそうだ。10年歯科医師として働いたのに後に改めて勉強するということはかなりのエネルギーを要すると思う。私自身を振り返ると新潟大学矯正科でよい師に恵まれ、回り道することなく矯正専門医への道を歩むことができた。幸せだと思う。

さて、二階堂先生の講演に話を戻そう。最初は歯周病の病名の復習から始まった。昔、若年性歯周炎とか急速進行性歯周炎とかいわれたものは、現在侵襲性歯周炎aggressive periodontitisと呼ばれているのだそうだ。普通の歯周病は慢性歯周病chronic periodontitisだそうです。以前勉強したはずだが忘れていた。病名を忘れても実害はあまりない。なぜ、名前がかわるか?色んな事がわかってきて以前の分類が実体にそぐわなくなったから名前を変えるのである。

侵襲性歯周炎特徴は

  1. 患者は歯周炎の存在以外は健康である。

  2. 急速なアタッチメントロスと骨の破壊

  3. 家族歴がある

  4. Aa菌、Pg菌の割合が増加

どれくらいの頻度で存在するのか?

治療後の患者のフォローアップの結果からメインテナンス患者の20−30%は予後不良である。

A long-term survey of tooth loss in 600 treated periodontal patients: Hirschfeld L, Wassreman B: J periodontal 49:225-237, 1978)

未治療の歯周病はどのような経過をたどるかというと、

  1. 箇条書き項目11%が何も問題なし

  2. 箇条書き項目81%がわずかな歯周炎の進行

  3. 箇条書き項目8%が歯周炎の急速な進行、早期の歯牙喪失

Natural history of Periodontal disease in man: Loe H, Anerud A, Boysen H, Morrsio E: J Clin Periodontal 13:432-435, 1986)


結局重篤な歯周病になるひとは全体の2割多くて3割のようである。残りの7割はそんなに気をつけなくてもひどい歯周病にはならないようだ。家族歴があるので親や年配の親戚が歯周病で歯を無くしていたら要注意ということである。ポケットの細菌検査をして悪い菌の割合が少なければ一安心とはいえるが、まだあまり一般的な検査ではない。また、ある時点では悪い菌が抑えられていても違う時点では増殖するということも考えられる。人生の半ば過ぎから突然侵襲性の歯周病に罹患することはあるのであろうか?年を取ってから突然花粉症を発症する人もいる事を考えると、人生の途中で突然発症するというのは考えられる。だれかわかる人がいたら教えてください。

治療は抗生物質の併用である。

侵襲性の歯周炎で失われた歯槽骨に対して再生治療は効くのか?炎症のコントロールと悪玉菌の駆除がうまくいったら再生するのかしら?誰かわかるひといたら教えてください。

講演会で質問しておくべきであった。

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