すでに1か月前になるが、3月6日に相模原市歯科医師会主催の講演会で東京都中央区開業の二階堂先生の講演を聴いた。二階堂先生はペリオを得意とする先生である。81年に卒業して3年間、歯科麻酔に残ったあと、10年間お父様のオフィスで働いた。そのあと自分の臨床がわからなくなりボストンのタフツ大学へ留学してペリオ教室で大学院を卒業してきたのだそうだ。10年歯科医師として働いたのに後に改めて勉強するということはかなりのエネルギーを要すると思う。私自身を振り返ると新潟大学矯正科でよい師に恵まれ、回り道することなく矯正専門医への道を歩むことができた。幸せだと思う。
さて、二階堂先生の講演に話を戻そう。最初は歯周病の病名の復習から始まった。昔、若年性歯周炎とか急速進行性歯周炎とかいわれたものは、現在侵襲性歯周炎aggressive periodontitisと呼ばれているのだそうだ。普通の歯周病は慢性歯周病chronic periodontitisだそうです。以前勉強したはずだが忘れていた。病名を忘れても実害はあまりない。なぜ、名前がかわるか?色んな事がわかってきて以前の分類が実体にそぐわなくなったから名前を変えるのである。
侵襲性歯周炎特徴は
•患者は歯周炎の存在以外は健康である。
•急速なアタッチメントロスと骨の破壊
•家族歴がある
•Aa菌、Pg菌の割合が増加
どれくらいの頻度で存在するのか?
治療後の患者のフォローアップの結果からメインテナンス患者の20−30%は予後不良である。
(A long-term survey of tooth loss in 600 treated periodontal patients: Hirschfeld L, Wassreman B: J periodontal 49:225-237, 1978)
未治療の歯周病はどのような経過をたどるかというと、
11%が何も問題なし
81%がわずかな歯周炎の進行
8%が歯周炎の急速な進行、早期の歯牙喪失
(Natural history of Periodontal disease in man: Loe H, Anerud A, Boysen H, Morrsio E: J Clin Periodontal 13:432-435, 1986)
結局重篤な歯周病になるひとは全体の2割多くて3割のようである。残りの7割はそんなに気をつけなくてもひどい歯周病にはならないようだ。家族歴があるので親や年配の親戚が歯周病で歯を無くしていたら要注意ということである。ポケットの細菌検査をして悪い菌の割合が少なければ一安心とはいえるが、まだあまり一般的な検査ではない。また、ある時点では悪い菌が抑えられていても違う時点では増殖するということも考えられる。人生の半ば過ぎから突然侵襲性の歯周病に罹患することはあるのであろうか?年を取ってから突然花粉症を発症する人もいる事を考えると、人生の途中で突然発症するというのは考えられる。だれかわかる人がいたら教えてください。
治療は抗生物質の併用である。
侵襲性の歯周炎で失われた歯槽骨に対して再生治療は効くのか?炎症のコントロールと悪玉菌の駆除がうまくいったら再生するのかしら?誰かわかるひといたら教えてください。
講演会で質問しておくべきであった。