私の視点

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前回のブログよりほぼ半月が経過してしまいました。ブログを御訪問していただいている皆様におかれましては良いゴールデンウイークをお過ごしになり、お元気でご活躍のこととご推察いたします。(推察する方法はありませんが、便りのないのは良い知らせということでお許しを)私もゴールデンウイークに十分充電する機会を得まして、日々意欲に燃えて診療を行っています。


今日は昨日新聞を読んで思ったことを書きます。昨日5月13日の朝日新聞17面に

岩手県立磐井病院緩和ケア病棟担当医師

佐藤 智

という先生が書いた


がん診療医学部に「緩和ケア」講座を 


というコラムが掲載されていた。

要約すると


がんによる心と体の痛みを和らげる「緩和ケア」は患者が自分らしさや生き甲斐を保ちながら闘病や生活を続けるために欠かせない。しかしながら医学部ではきちんとした教育が為されていないため医師達が「緩和ケア」に対する十分な知識を得ているか疑問である、という問題がある事もう一つは、それを必要とする患者さんが存在するにも関わらず、「緩和ケア科」などの標榜が許されていないため、患者さんの「緩和ケア」へのアクセスが阻害されているという問題があることが記述されていた。


私の母は胃ガンで亡くなった。初回手術から3か月後の再発で再手術もできず、抗ガン剤の治療ののち逝った。モルヒネの作用で最後の半月はほぼまともに話はできなかった。母も死期は察していたと思う。9月2週目、抗ガン剤の治療による延命効果がほぼ期待できないとわかった時、兄妹で母を家で死なしてやりたいので自宅に連れて行きたいと主治医に相談した。無理であった。結果9月28日に母は逝った。

その時は外科の手術を担当してくださった先生が「緩和ケア」を行ってくださっていたように思う。緩和ケアのみならず、手術後のすべてにの治療を外科の担当医が行ってくれた。私の目には手術をしたがための責任感で外科医の先生が最後の看取りまで行ってくださったように感じた。非常に感謝している。また人間としてのあり方としては真っ当であると思った。ただ医療をシステムと考えたときに今のままでは外科医の負担が重すぎると思う。医師個人のボランティアにおんぶにだっこの保険制度はもう長くはもたないと思う。今の制度を延命させるためにも現状を認識し、保険制度を良いほうに変えていく努力が必要である。と僕は思う。

佐藤先生もそのような趣旨で記事を投稿されたのではないか?と僕は想像した。


記事中で佐藤先生は

「緩和ケア科」という標榜は許されないのに「緩和ケア内科」や「緩和ケア外科」などの従来の診療科との組み合わせでの標榜が可能になった事(厚生労働省がそうしたから)に関連して、緩和ケアを扱う医師の資質を担保できないまま標榜を認めるのは「食品偽装」ならぬ「医療偽装」を誘導する懸念はないのであろうか。と憂慮している。

新制度は言葉の組み合わせに過ぎず実態を伴わない可能性がある。と言及している。


日本矯正歯科協会が矯正の専門医制度を立ち上げた理由もそこにある。広告ができる専門医制度を国が運営するのであれば、専門医の質は担保されていると国民は思うであろう。でもね。担保されていないの。概形基準といって1000人以上の団体で、9割以上が医師か歯科医師で、法人格をもっていて、5年以上の活動歴があることが満たされれば良いというルールで、認定している医師、歯科医師の質は問うていない。

これではいけないと思うんですよ。国がやることでも間違っている事はあると思います。ですから、各個人は自分の専門分野で「それは違うのでは?」「こうした方がもっといいのでは?」という声を上げていかなければならないのではないか。

そう思った有志が集まりできたのが日本矯正歯科協会です。国が担保しないのであれば、歯科矯正に携わる者として、自ら質を担保する専門医制度を作ろうと集まった集団です。認定審査のはじめから公正さを念頭に置き、矯正歯科医ではない他分野の歯科医師、大学教授、消費者の代表としての第三者委員を審査に加え書類上だけではないフェアネスを担保してきました。

現在、歯科矯正分野の専門医制度は関係団体がより良い専門医制度を作るために折衝中です。

詳しいことはhttp://www.jio.or.jp/html/offical/kouhou.htmにアクセスしてJIO広報をご覧ください。

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このページは、星歯科矯正が2008年5月14日 14:10に書いたブログ記事です。

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