認定医試験前に症例借用

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すごいですね。朝日新聞の一面ですよ。31面にも関連記事があるし、翌日の26面にも続報があった。要するに歯科医師が悪いことをしたと、また、歯科医師の評判がおちますね。うーん!

改めて要約します。ドイツ口腔インプラント学会(DGZI)と提携している日本の最先端インプラント国際学会(AIAI)の会長を含む幹部が他人の症例を用い申請書に虚偽の記載をしてDGZIの認定試験に合格したことを非難している。12日の記事では、幹部だけでなくAIAIに所属する経験のない若い歯科医師も虚偽の申請で認定試験に合格したことを伝えている。朝日新聞のスタンスとしては、インプラント治療を行う歯科医師が他との差別化のために認定医というお墨付きを欲しいがために、論文発表などが必要なく比較的申請要件がゆるやかでも権威のあるDGZIの認定を不正に取得した。「どこの医院で治療や手術を受けるべきか。患者側には判断材料が少ない。一つの指標となる認定医制度には、厳格な運用が求められる。」(カッコ内は引用)ということのようです。

ひとまず、朝日新聞の記者の方のご意見に同意します。

申し訳ありませんが、このような事例は矯正歯科の分野でもありました。もしかしたら現在もあるかもしれません。過去に日本矯正歯科学会の認定医試験において複数の申請者が同一の症例を自らの治験例として申請していることが発覚しました。認定試験においてはこのような不正がある程度起きることはやむを得ないのかもしれません。一番重要なことはそのような受験者が合格しないことです。そのためには、偽造されたことがわかる書類審査ときちんとした技能評価が行われる必要があります。ということで、日本矯正歯科協会(JIO)ではそのような認定制度を設立運用してきています。さきほど、日本矯正歯科学会は不正が現在でもあるかも知れないと強い表現をしました。それは不正が発覚したにもかかわらず何の処分も対処もされていないからです。認定制度の制度的な瑕疵は明かであるにもかかわらず、その制度を堅持しその上に専門医制度を作った。I 期治療だけ行った症例を完治症例と偽り認定医を取得したかもしれない認定医がさらに専門医を申請する。このような場合、技術云々というよりも人としての部分が・・・・・

ということで日本矯正歯科学会には是非過去の不祥事の精算を是非していただきたい。一言申し添えておきますが、日本矯正歯科学会で現在の専門医制度の運営に関わっている先生方は誠実ですばらしい先生ばかりです。その先生方が目指す理想はすばらしい物です。過去の責任はその先生方にはとれないし、その権限もないという学会の組織上の問題があるだけです。(私の個人的な意見です。ご容赦下さい。)

ということで朝日新聞の記者の方が結論として書かれた。「認定医制度には厳格な運用が求められる。」ということに同意します。

ここからは少し朝日新聞に対してものを言いたいです。「厳格な運用を求める」結論を引き出す前段として医科の分野での医師の申請書類の偽造、審査側の試験問題漏洩などが紹介されていた。あくまでも医師、歯科医師のモラルの問題としたいようである。しかしながら、私は異なる問題が底にはあると思う。2002年厚生労働省は広告ができる専門医制度の運用を開始した。しかしながら、厚生労働省は概形基準を審査するだけで、その認定医制度そのものに関してはチェックしない。かくして、技術認定がきちんとなされない専門医が市井にあふれかえった。このことを委員会で問いただされた。厚労省の職員は「専門医とはその医師の専門のおまかな方向性を示すだけで、技術能力にお墨付きを与えるものではない。」と言ったそうです。

これでは、厚労省が作った専門医制度は患者を惑わしこそすれ道しるべにはなりません。

こんなことくらい当然朝日新聞の記者である抜井規泰さんと塩原賢さんが知らないわけはない。しかし、記事中にそのような情報はない。あるのは、「歯科医師が虚偽の申請をして不正に認定医を取得した。認定医制度には厳格な運用が求められる。」ということだけである。

ほとんどの歯科医師はまじめに仕事をしている。一部の歯科医師は身銭を切って仕事の環境を良く変えようとしている。

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このページは、星歯科矯正が2009年1月14日 16:12に書いたブログ記事です。

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