「禍福は糾える縄のごとし」なので何が幸せで,何が不幸せなのかは難しい問題ではあるが,「海辺のカフカ」を読んだときは自分は不幸だと思っていた.自らの行いだけでは解決できない問題を抱えていた.世の中のたいていの問題はそうであるのだけれども.
「国境の西,太陽の南」を読んだときも問題を抱えていた.
とりあえず,大きな問題がない状態で「1Q84」を読んだ.父を思い出した.病床の父を思い出した.傍らの母を思い出した.私は今ここにいる.
週末「日本矯正歯科協会の第8回学術大会」がアルカディア市ヶ谷で催された.土曜日に診療を早見に切り上げて電車で市ヶ谷に向かった.ロマンスカーが来るまでベンチで「1Q84」を読んでいた.隣に座った女性も本を読んでいた.開いた本のページでは青豆がシャツの上から自分の乳房の形を確認していた.