関門海峡を望む.北九州市門司港ホテルで第32回与五沢矯正研究会が18日19日20日に開催されました.今年も例年同様発表してきました.3月から準備を始めてやっと前日に準備が終わりました.発売日に購入した.村上春樹さんの「1Q84Book3」も読まずに準備をしました.お陰様で,何とか発表は終了しました.スライド190枚もあったけどほぼ30分で終了したし・・・ほぼ紙芝居みたいな発表です.学会講演で論文みたいな文章を原稿としてずらずら読む人がいます.過去の私もそうでした.はっきり言って聞いている人はほとんど理解できないです.それを目的にそのような発表をするのは合目的的ですが,人に話を聞いてもらいたい場合は他の方法を用いた方がよろしいというのが,私の経験から導かれた知恵です.はい.
ディレクターの与五沢文夫先生がセファロの数値から脱却し,セファロをそのまま写真として診て,図形として理解することへのパラダイムシフトを表してから20年以上経つのに,未だにセファロの計測値をこねくり回して喜んでいる人たちがいる.一方で,全く違う分野の人が同じようなパラダイムシフト,もしくは,人間の能力の再評価をしている.
研究会のスライドにも引用しましたがここに載せたいと思う.
それでも特に悲観的な気持ちにはならなかった.彼は自分には本能的な勘が備わってることを知っていた.特殊な感覚器官によってまわりの様々な匂いをかぎ分けることができた.肌に感じる痛みから,風向きの変化をつかむことができた.それはコンピュータにはできない作業だ.それらの能力は数値化したりシステム化したりできないことだからだ.厳重にガードされたコンピュータに巧妙にアクセスし,情報を引き出すのは侵入者の仕事だ.しかしどんな情報を引き出せばいいかを判断し引き出された膨大な情報から役にたつものだけを選び出す作業は,生身の人間にしかできない.
1Q84 Book3 p133
村上春樹 新潮社2010年
セファロに映し出された像を計測し,数値化し数限りない情報を取り出すことは可能である.しかし,膨大な情報から役に立つものだけを選び出す作業は,生身の人間(経験を積んだ歯科矯正医)にしかできない.
会長の有松先生,副会長の池先生ご苦労様でした.