昨日午後から橋本の市民プラザで3歳半検診でした。ちょっと早く着いたので本屋さんへ、新聞広告で気になった週刊新潮をチェックしにいきました。その内容は、日本人は八重歯をかわいいと思っているし、最近、モーグルの上村愛子さんやAKBの板野友美さんなどの八重歯のある人がテレビ等に出てくる影響で、偽の八重歯をつける人がいるとのこと、週刊新潮さんは「人と違うチャームポイントを作ってアピールしたいという気持ちの表れでは」と考察していました。私は何を隠そう高校時代、松田聖子さんより、河合奈央子さんのファンでした。八重歯の子とお付き合いしたこともあります。矯正の仕事をする中で腑に落ちたことのひとつに八重歯についての考察があります。きょうはそのお話をしたいと思います。
「日本人は八重歯をかわいいと思っている。」この命題はうそですね。
正しくは、
「八重歯のある子はかわいい」です。
八重歯がある。というのは、歯の大きさと顎の大きさのバランスが悪く歯が大きい状態です。乱ぐい歯、クラウディングと言ったりします。日本人には多い歯ならびです。八重歯のある子は唇を閉じることがきちんと習慣化しています。そのため、前歯が生えている位置は唇と舌のバランスがちょうどよくとれる位置にあります。そのため、きりっとした口元になっている場合がおおいです。バランスのとれた口元は美人さんの条件のひとつですよね。吉永小百合さんも八重歯だったように記憶していますが口元は美しいですよね。(この状態は矯正治療のゴールです。)
唇を閉じると言うことが習慣化されないとどうなるでしょう。おくちの中には舌がありますから後ろから前歯をおします。前方でシャッターの役目をしていた唇はいつもあいていますから、前歯は突出した状態で並びます。すると歯列の前後径が長くなりますから、顎の大きさと歯の大きさのアンバランスがあってもでこぼこの程度は少なくなります。歯列をみると一見綺麗なようですが、口元が突出した獣のような顔になっている場合があります。そんな子は皆さんかわいいとは思いませんよね。
八重歯を矯正治療するときに歯を抜かないで行った場合、多くの人では前歯が前方に突出します。すると、結果的に美しかった口元が崩れてしまいます。非抜歯治療といいますが、このような矯正治療をうけた方の口元は歯を見せて笑っている時はチャーミングなのですが、唇を閉じてまじめなお顔をした際に「なんか文句あるの?」みたいな印象を与えることが多々あります。八重歯を矯正するときは口元の美しさもきちんと考えないといけません。
日本人が八重歯がかわいいと感じるのは、実は八重歯を持っている子がかわいいことが多いからです。詳しくいうとその子の唇が機能的であり美しいからです。
唇を閉じる習慣がなく、上下の前歯が出っ張ったひとが、数万円かけて偽の八重歯を作ったところでチャームポイントにはなりませんよ。それはもしかしたら二重苦かもしれません。